今日は大喜利をやるつもりでしたが、別のことを書こうと思います。学生時代、バイト先のバーにＴさんという常連さんがいました。聞くと、Ｔさんはある監督の組で働く映画スタッフでした。偶然にも俺はその監督の大ファンでした。そこでＴさんに無理を言って、持っていた本に、監督のサインを貰ってきてもらいました。今まで雲の上の存在だった人の直筆を見て、「いつかプロの役者になって、絶対にこの人の映画に出る」と誓いました。２年後、ようやく俺は役者の道を歩き始めました。でも、もちろん新人の役者に仕事があるほど甘い世界じゃなかった。そんな時、当時のマネージャーから一本の電話がかかってきた。「映画のオーディションを受けてもらいたいんだけど」 「どんな映画ですか？」「森田芳光監督って知ってる？」電流が走った。これを掴まないと一生チャンスは巡ってこないと思った。映画のタイトルは『椿三十郎』。黒澤明監督の名作を初リメイクするという、実績も何もない新人役者にとっては、オーディションに呼ばれるのも信じられないほど、夢のような企画でした。オーディション、初めて目にする森田監督に緊張しつつも、勢いだけで突っ走った。５時間続いた三次オーディション、最後に７人が部屋に呼ばれ、言われた。「おめでとう。君たちに決まりました。」奇しくも、それが俺の映画デビューとな続きをみる
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